2022.04.14
目次
以前のブログで、「自律型人材を育てるためには、教えるのをやめましょう!」(教えると、自己肯定感と自発性が損なわれます)と、書きました。
しかし、実際問題として「相手が間違っていたら、教えなきゃ(叱らなきゃ)ダメでしょ!?」というのも事実です。
そこで今回は、そんな状況でも使える「3つの言葉がけ」を、ご紹介したいと思います。
これを実践すると、教えなきゃ(叱らなきゃ)いけない場面が、自律型人材を育成するチャンスに変わります!
目的は、相手の置かれている状態を言語化してもらうことです。
これによって相手は、どうしてその行動をしたのかを、客観的に考えることができます。
ポイントは、頭ごなしに叱らないことです。
目的は、自分で考えるきっかけを提供することです。
これによって相手は、解決策(今後の行動)に対して、責任を持つことができます。
ポイントは、相手を信じてじっくりと答えを待つことです。
目的は、応援のメッセージを伝えることです。
これによって相手は、解決策(今後の行動)を実行するにあたって、「味方がいる」という心理的な安心感を持つことができます。
ポイントは、求められた助けに対して、最大限の努力で応じることです。
今回、参考にさせて頂いたのは『最新の脳研究でわかった!自律する子の育て方』工藤勇一・青砥瑞人著(SB新書)という本です。
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著者の工藤勇一さんは、千代田区立麹町中学校の校長時代に、「宿題廃止」「定期テスト廃止」「固定担任制廃止」など、ユニークな教育改革を行い、様々なメディアで取り上げられました。
改革方法がユニークというだけでなく、実際の成果として「子供が変わった!自分で考えて行動するようになった!」と、保護者から評判が広まりました。
この学校で、先生たちが叱る代わりに行っていたのが、3つの言葉がけ「どうしたの?」「どうしたい?」「私にできることは?」です。
~麹町中学校で行われている「3つの言葉がけ」のエピソード~
麹町中学校の校区は、永田町の隣という土地柄、裕福で教育熱心な家庭が多く、ほとんどの子供たちは中学受験をします。
この結果、第一希望に敗れた(受験に失敗した)子供たちが、公立の麹町中学校に入学してきます。
なので、新入生の中には、自己否定を抱え、学校を嫌っている子供が少なからずいます。
「学校(授業)なんて、つまらない」
「先生なんか、敵だ」
「信用できる友達なんて、いるわけない」
そんな気持ちを抱え、何もかも嫌になり、授業中に教室を飛び出す子供が、毎年4~5月に必ず居ます。
先生たちは慣れたもので、「私は1階を探します」「私は体育館を探します」と手分けして、すぐに生徒を見つけ出します。
でも、その後の対応が、他の学校とは違うんです。
見つけた時に「こら、何やってんだ!授業中だぞ!さっさと教室に戻れ!」と頭ごなしに叱ったりしない。
ここで、第一の言葉がけ「どうしたの?」を使います。
「何か困ったことがあったの?」と具体的に聞くと、
「なんで学校に来る必要があるのか分かりません」
「あの授業、クソつまんないんですけど」
「あの先生、僕のこと嫌ってると思うんですよね」
といった返事が返ってきます。
ここで、その返事を否定せず、「なるほどなぁ」「そうかぁ」と子供の気持ちを受け止めます。
そして、第二の言葉がけです。
「それで、君はこの後、どうしたいの?」
しかし、たいていの子供は、選択肢を持っていないか、あるいは自分の要求が通るかどうかが分からないので、返答に詰ります。
そこで、第三の言葉がけです。
「先生に何か支援できることはないかなぁ?」と言い、
「まぁ、そうだな、僕にせいぜいできるとすれば、別室を用意してあげることぐらいかな。だから君は、今から元の教室に戻って1時間我慢して授業を受けてもいいし、別室に行って好きなことをやってもいい。どうする?」
そうすると、たいていの子供は「じゃあ別室に行きます」と答えます。
その後も「1時間でいいかい?」「1時間でいいです」といったやり取りが続きます。
授業に集中できない子供を、別室に連れていくことは、他の学校でもある話です。
でも大抵の学校は、無理やり連れ戻した子供が、また暴れたりして「お前は別室にいろ!」とみんなの前で叱られて、強制的に連れて行かれる。
無理やり連れていかれた子供は、自己決定していないので、この後も不満が積もり、学校・授業・先生がどんどん嫌になり、やる気を失っていきます。
逆に、自己決定した麹町中学校の子供は、最初はYoutube等を見ていますが、そのうち「いま読んでいる本があるので、それを読んでいてもいいですか」「数学の勉強をしてもいいですか」となります。
~以上、『最新の脳研究でわかった!自律する子の育て方』P95~P100を参考に作成~
著者曰く、「“大人たるもの、毅然とした態度で叱るべきだ”という思い込みを捨てること」だそうです。
「叱る」は手段であり、目的は「子供がどう変化するか」という結果のほうだと説いていらっしゃいます。
このエピソードは、学校における先生と生徒の関係だけにとどまらないと感じました。
職場における上司と部下の関係、家庭における親と子の関係にも、全く同じことが言えると思います。
学校=職場、家庭
授業=仕事、日常生活
先生=上司、親
私も、家庭において、ついつい子供を頭ごなしに叱ってしまうことがあります。
今後はそんな時があったら、「自律する子に育つチャンスだ♪」と気持ちを切り替えて、3つの声がけを実践したいと思います。
「どうしたの?」
「どうしたいの?」
「お父さんに何かできることはある?」
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